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ぜんぶそうぞうです

「もう寝よっか」「そうだね」「おやすみ」などと言い合って、耳に押し当てていたケータイを少し離す。なんとなく通話を終了できずにいると、相手も通話を終了させないままの時間が続く。夜のまっくらな部屋に、微かな電子音が響く。もちろん寝息なんて確認できないし、のび太でもなければ寝られないくらいの時間しか経っていない。 でもわたしは小さな声でつ

昔話をしよう

3ヶ月前、好きになった人を空港まで見送りに来た。 たった1ヶ月しか一緒にいなかった。本当に好きだったのか、単に一緒にいる時間が長かったからそう感じたのか、はたまた留学の寂しさからそう思い込んでいたのか、今では、というより今でも、たぶんこれからもわからない。 初めて行ったのは水族館だった。よく話して、いちいち優しくて、どうでもいい話にも反

理由がいらなくなる理由

冬の青空を見ると思い出す。「今日いい天気だね」なんて、スーパーどうでもよいことを連絡していた相手のこと。 あれはたしか2月のことで、もうたぶん3年前だ。結果から言うとその人とはその年の4月ころにつきあい始め、もうお別れした。わたしはふだん、日常的に誰かと連絡を取り合う習慣がなくて、それこそ「本日の天気」などという世間話の王道のようなテー

ぬるい生クリーム

「(ホットチョコレートのうえの)生クリームちょうだい」と言うと、「めずらしいね、お前が自己主張するの。ほら、食べな」とそのひとは笑った。 彼はひとりではホットチョコレートをのまない。わたしがホットチョコレートが好きだから、彼はいつもホットチョコレートを頼んでいた。わたしは「さむいね」と言ったことはあっても「ホットチョコレートが飲みた

おやすみのスタンプ

父がLINEを覚えた。 父は62歳になる。わたしは父の39歳くらいのときの子どもで、長女だ。小さい頃から父によくかわいがられて育った。思春期特有の反抗期みたいなものはあったけれど、わたしは父によく似ていたしそれなりに仲良くやってきた。 そんな父は去年の年末まで、もう10年以上になりそうな(わたしが小学生のときにはもう使っていた気がする)、ボタンの