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違う空を見上げている

by あいきた

「オリオン座がきれいだよ」とその人はメッセージを送ってきた。わたしを家まで送ってくれたあと、家まで歩いて帰る途中だったのだろう。
わたしは空を見ようと思ったけれど、部屋の窓からは星は見えなくて、夜空を見上げようと思ったらまたマンションの下まで降りなければならなかったので諦めた。かわりにわたしは「ここでも冬にオリオン座が耳れるんだね」と返事した。

ここは日本じゃない。天体には詳しくないけれど、見上げる場所が違えばオリオン座を見れる季節も違うのかなあと思っていた。けれど、日本と同じ冬にオリオン座が見れるんだね。

よく、「離れていても同じ空の下にいる」というようなフレーズがある。けれど厳密には、同じ空だけど空じゃない。だって、日本でオリオン座が見えているとき、ここは夜中から朝だ。わたしは寝ている。わたしがオリオン座を見ているとき、日本はお昼か夕方。同じだけど同じじゃない。同じときには見れない。それは、異国の地に立って初めて気がついたことだった。本当に、すごく、離れているんだ。


ここから日本まで、どのくらい離れているだろうか。距離なんて言われたってわからない。飛行機で約12時間。飛行機代は往復で約15万。遠いなって、思ってた。今までだって。
でも、同じオリオン座が見れない。時間も違えば、天気も違う。そっちからきれいに見えても、こっちからは見えないかもしれない。この事実のほうが、わたしに「距離」というものを突きつけた。


藤井フミヤさんの「Another Orion」という曲がある。「別れじゃなくてこれが出会いさ」と彼は唄う。「運命ならば巡り会えるさ」とも。
運命なんて軽々しく言わないけれど。でも、先のことなんてわからない。もしもまた巡り会えたら、運命なのかもね。同じオリオン座が見える場所で。


あいきた
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