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忘れたくない笑顔が、確かにそこにあった

by あいきた


人間ってうまくできてる。覚えていたい大切なことの記憶が薄れていくとき、神様って「忘れる」っていうスバラシイ能力を人間に授けたもんだなぁなんて思う。

「楽しかったね」と笑う大好きだったひとの笑顔を、覚えていたかった。ううん、笑顔だけじゃなくて、声も、仕草も、表情も、体温も、すべて。だけどすべてを鮮明に覚えておくなんて到底ムリな話で、あんなに頭の中で反芻したあの笑顔も、声も、たった数日でおぼろげになっていく。

あのときこう言っていたとか、こんな風に見つめてたとか、優しい表情だったとかくしゃっとした笑顔だったとか手が温かかったとか、思い出せることはすべて言葉でしかない。だってあの瞬間はもう二度と戻ってこない。

鮮明だったはずの記憶も繰り返すうちに色褪せて、フィルターのかかった思い出になる。掴みたくても指の隙間からすり抜けていく。悲しいけれどそれが現実で、少しずつ忘れていくからこそ人間は次に進めるんだなぁとも思う。

無意識に、こんなこと話そう、なんて考えている自分がいる。この道一緒に歩いたな、なんて思うこともある。そういえばマシュマロが好きだったな、とマシュマロを見ることもある。

だけどそういうこともそのうちなくなるのだろう。忘れていくのだ。人間ってうまくできてるね。カミサマありがとう。


あいきた
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